味比べに両方注文させるつもりでしょ?」 「ふふっ。バレました?」 「むぅーっ! ほんと商売上手なんだから。菜摘さんにそんな事言われたら、飲まない訳 にいかないじゃない。その代わりどっちも美味しく淹れて下さいね」  プンプンと頬っぺたを膨らませて口を尖らせてるのに、眼鏡の奥の目は嬉しそうに笑っ てる。 「はい。かしこまりました!」  はぁぁ‥、なんて楽しいんだろう。  右を見ても左を見ても、未玖ちゃんみたいに紅茶が好きで好きでたまらないってお客さ んたちの幸せそうな笑顔があふれてる。  まずはストレートから‥と、温めておいた丸いガラスのティーポットに茶葉を入れて沸 かしたてのお湯を勢いよく注ぎ、気持ち良さそうにジャンピングする黄金色のゴールデン チップスを眺めてたら、ズーンと落ち込んでた心まで一緒になって踊り出しちゃいそうに なった。  ああ。私、やっぱり、このお仕事が大好きだ。